浜松市で借金に悩む方へ――「個人再生」という選択肢
事業の不振や教育費の増大、思いがけない病気や失業…。こうした予期せぬ事情により借金が膨らみ、返済が困難になってしまうことは決して珍しくありません。特に浜松市を中心とした静岡県西部では、自営業者や製造業勤務の方が多く、収入の変動や生活費の増加から債務の返済に悩まれている方が増加傾向にあります。
そんな中、知っておいて欲しいのが、「個人再生」という法的な債務整理の方法です。借金を大幅に減額し、3年から5年の分割で返済をしていくことで、生活の再建を図ることができます。特に住宅(住宅ローン)を残しつつ他の借金を整理できるという点で、浜松市などの地方都市に多い持ち家世帯に適した制度といえるでしょう。
本コラムでは、個人再生の仕組みや手続きの種類、他の債務整理手続きとの違い、そして実際に多く見られる相談事例をもとに、制度の概要と活用法をわかりやすくご紹介します。なお、本コラムの内容は令和7年4月時点の法令及び運用を前提にしております。
個人再生とは?
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、その減額された金額を原則3年間(特別な事情がある場合は5年間)で分割して返済する法的な手続きです。自己破産のようにすべての債務を免除するものではありませんが、一定の収入があり、返済の意思と能力がある人にとっては、生活の立て直しを図る有効な手段となります。
最大の特徴は、住宅ローンを支払いながら他の借金を整理できるという点です。これにより、家族とともにこれまでの住まいに暮らし続けながら生活を立て直すことが可能になります。
小規模個人再生と給与所得者等再生
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続きがあります。
小規模個人再生は、自営業者や非正規雇用など、収入が安定しない方でも利用可能な制度です。債権者(借金の相手)の同意が必要で、一部の債権者から反対されると不認可になる場合があります。
給与所得者等再生は、会社員や公務員など、安定した給与収入がある方が対象で、債権者の反対があっても手続きが進められるという特徴があります。ただし、「可処分所得の2年分」以上を返済しなければならないという制約があります。
個人再生手続における返済額については、法律で「最低弁済額」が決まっており、その弁済が終わった際にはそれ以外の債務の支払いは免責されます。最低弁済額は手続によって異なり、小規模個人再生の場合には、下記1と下記2のうち高い方の金額。給与所得者再生の場合には、下記2と3のうち、高い方の金額が適用されます。
- 法定弁済額(小規模個人再生のみ)
借金総額に応じて、以下のとおり最低弁済額が定められています。
- 借金が100万円未満:全額返済
- 100万円以上〜500万円以下:100万円
- 500万円超〜1500万円以下:借金の5分の1
- 1500万円超〜3000万円以下:300万円
- 3000万円超〜5000万円以下:借金の10分の1
- 清算価値
自己破産をした場合に債権者に分配されると見込まれる財産価値(預貯金、不動産、車、保険など)の合計。これを下回る返済計画は認められません。 - 可処分所得の2年分(給与所得者等再生のみ)
収入から税金・社会保険料・最低限の生活費を差し引いた「可処分所得」の2年分が最低弁済額になります。
個人再生のメリット
個人再生の最大の魅力は、借金を減額できるだけでなく、「生活の基盤を守りながら再出発ができる」という点にあります。以下に主なメリットを整理してみましょう。
1. 住宅を守ることができる
「住宅資金特別条項」を利用することで、住宅ローンはこれまでどおり支払い続ける一方、その他の借金だけを大幅に減額することができます。浜松市内では持ち家比率が高く、この点が大きな安心材料となるケースが多く見られます。
2. 借金を大幅に減額できる
小規模個人再生では、最大で5分の1程度まで借金が圧縮されます。上記の最低弁済額についての項目をご参照ください。たとえば、800万円の借金が160万円になることもあり、月々の返済額も現実的な水準に抑えることが可能です。
3. 財産を手放さずに済む
自己破産と違い、原則として車や貯金などの財産を手放す必要はありません。清算価値を超える返済計画が認可される限り、現在の生活を維持したまま返済が可能です。
4. 職業や資格への影響がない
自己破産では保険外交員や警備員など一部の職業に制限がかかることがありますが、個人再生ではこうした制限が一切ありません。会社への通知も基本的には不要で、仕事への影響を最小限にとどめられます。
5. 債権者の取立てが止まる
弁護士に依頼して受任通知を発送すると、すぐに債権者からの督促や取立てが止まります。精神的にも大きな安心が得られ、落ち着いて今後の対策を講じることができます。
6. 家族や周囲に知られにくい
個人再生は官報に掲載されるものの、一般の人が官報を目にする機会はほとんどありません。裁判所や弁護士とのやり取りで完結するため、家族や勤務先にも知られにくい債務整理手続きです。
個人再生の手続きの流れ
- 弁護士に相談・受任
- 受任通知発送(債権者からの取立て停止)
- 収支・財産の調査、申立書類の作成
- 裁判所への申立て
- 再生計画案の提出
- 債権者の意見聴取(小規模個人再生のみ)
- 再生計画の認可決定
- 計画に従った分割返済の開始
手続期間は6ヶ月〜1年程度が一般的です。
費用の目安
当事務所の弁護士費用(令和7年4月時点)は以下のとおりです。
- 着手金:55万円(税込)~66万円(税込)
- 報酬金:なし
- 事務手数料:4万4000円(税込)
当事務所では、費用の分割払いにも対応しております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。なお、弁護士費用は予告なく変更される場合がありますので、正確な金額についてはお問い合わせください。
よくある相談事例
- 自営業者が事業資金の返済と生活費の借入が重なり返済困難に陥った
- 製造業勤務者が残業減少によりローンの返済が困難に
- 教育費や医療費の支出が増え、家計管理が破綻した
これらの方々が、住宅を残しながら借金を整理できる個人再生を活用し、生活再建への第一歩を踏み出しています。
まとめ
借金問題は、放置すれば生活だけでなく、メンタルや家族や知人との関係にも大きな影響を及ぼします。個人再生は、「家を守りたい」「破産は避けたい」「借金を減らして立て直したい」という方にとって、非常に現実的かつ有効な手段です。
浜松市や静岡県西部にお住まいの方で、借金に関する不安や疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。当事務所では、地域に根ざした法的サポートを通じて、あなたの再スタートを全力で支援いたします。