不苦者有知(フクワウチ)
ゆりの木通りは新緑の季節になり,事務所の窓からは大きなユリノキの葉が風に揺られているのが見えます。雨の降る日が続きますが,ふとした晴れ間に吹くさわやかな風は気持ちいいですね。
先日,ご縁のある書家の阪野鑑先生から,当事務所に書作品をご恵贈いただきました。森下典子著『日日是好日』の物語の中に出てくる掛け軸をモチーフにした一連の作品のひとつで,「不苦者有知」と書き,「苦と思わざる者は知あり」,又は「フクワウチ」と読むそうです。アートとしての書は,その形象の美しさはもちろんのこと,そこに文字の意味や歴史が響き合い,強い力を放つのだと改めて考えさせられました。
当事務所には,様々な苦難を抱える相談者や依頼者の方が多数いらっしゃいますが,そのような「苦しみ」の多くは,法律の「知恵」で和らげることができるはずです。先生の作品に力をもらいながら,相談者や依頼者の幸せのために,これからも日々研鑽を重ねていきたいと思います。
ちなみに,私は,静岡県伊豆の国市にある正蓮寺さんで開催されている阪野先生のお教室に何度か参加させていただいたことがあります。日常と離れた本堂の静謐な空間で,筆と墨だけに集中する時間は,他では得難い貴重な体験でした。機会のある方はぜひご参加ください。