コロナ版ローン減免制度

令和2年10月30日,一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関によって,『「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則』が制定され,東日本大震災の被災者などに適用されていたローン減免制度が,新型コロナウィルス感染症によって債務の返済が困難になった個人や個人事業主にも適用できるようになりました。いわゆる「コロナ版ローン減免制度」です。
制度の対象となる方には,自己破産等の他の手続と比べて多数のメリットがありますので,ぜひご利用ください。制度の概要は次のとおりです。詳しくは下記のリンクもご参照ください。

 

【制度の対象者】
コロナの影響で失業や収入の減少し,債務の返済が困難になった個人と個人事業主です。ざんねんながら法人は含まれません。

【制度の対象となる債務】
令和2年2月1日以前に負担していた債務,又は令和2年10月30日までにコロナ対応のために負担した債務のうち,原則として金融機関,消費者金融,信販会社,債権回収会社に対するものが対象となります。対象期間以外の債務や,個人債権者への債務は対象となりません。

【制度を利用するメリット】
第一に,特別定額給付金などの差押禁止財産に加え,財産の一部を手元に残して債務整理ができることです。自己破産手続では,自由財産という最低限の財産以外を債権者に配当するひつようがあることに比べると,より有利な条件で債務整理ができる可能性があります。
第二に,信用情報登録機関(いわゆるブラックリスト)に登録されないことです。一般的に,債務整理を行う場合,支払を遅延しただけで信用情報登録機関に登録される可能性があります。対象者の経済的再生の妨げとなる信用情報登録機関への登録を免れることができることが今回の制度の大きな目玉の一つとなっています。
第三に,弁護士や不動産鑑定士などの支援が無償で得られることです。債務整理を行う際は,弁護士等の専門家の費用が生じることが普通です。しかし,今回の制度では,その費用を国が肩代わりしてくれる建付になっています。気軽に債務整理をすすめられるのは非常に大きいメリットですね。
第四に,住宅ローンが残った住宅を残して債務整理ができる可能性があることです。一般的な債務整理では,個人再生時に住宅資金特別条項を利用するという限定的なケースでしか自宅を残すことが困難でした。しかし,今回の制度では,生活の本拠地である自宅を残したまま債務整理が可能となります。

【制度の利用方法】
今顔の制度の利用は,認定支援専門家として登録された弁護士による支援から始まります。まだまだ登録弁護士の数は少ないため,まずはお近くの弁護士会にご相談ください。認定支援専門家があなたの手続を支援してくれるはずです。

 

*制度案内パンフレット(disaster-gl-covid19_leaf)

*一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関ウェブサイト

*静岡県弁護士会