配偶者居住権について

相続法の改正に関する法律が2018年7月6日に成立し,配偶者の居住権を保護するための方策に係る規定が2020年4月1日に施行されます。そこで,今回は配偶者居住権について少し解説をしてみたいと思います。

改正相続法は,居住建物の所有権を相続しない配偶者相続人(例えば,父と母が共に生活していた家を父が死亡した後に子が相続した場合の母)に,原則として終身の間,無償で同配偶者相続人が自宅に居住する権利を認めることになりました。この権利のことを,「配偶者居住権」と呼んでいます。
なお,法改正前であっても,遺産分割協議が終わるまでの間については,配偶者居住権を認めた判例(最判平成8年12月17日)がありました。

では,どのような場合に配偶者居住権が認められるのでしょうか?この点,改正法において,配偶者居住権は,配偶者相続人が相続開始の時に,被相続人の遺産である建物に居住していた場合に,次の方法で取得することができるとされています(改正民法1028条1項,同1029号)。

  • 遺産分割
  • 遺言で配偶者居住権を遺贈の目的とする
  • 家庭裁判所の審判

他方,被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は,配偶者相続人は配偶者居住権を取得できません。また,家庭裁判所に配偶者居住権を取得するための審判を申し立てても,所有者の受ける不利益の程度を考慮して配偶者居住権が認められない場合もあります。

配偶者居住権について詳しいことが知りたい場合には,お気軽に当事務所までご相談ください。