個人再生手続についてQ&A形式で説明します。
Q 個人再生とはどのような手続ですか?
A 個人再生とは,債務の支払いが困難になった個人(自然人)が,裁判所の介入により借金の一部を分割弁済し,残債務についての免責を受ける手続きです。
個人再生は,民事再生法という法律によって定められた債務整理の方法であり,5000万円以下の債務を有する自然人が対象となります。法人や5000万円以上の債務を持っている場合には,個人再生ではなく,民事再生という手続を受けることになります。
Q 個人再生を選択するメリットはなんですか?
A 個人再生手続では,債務総額の5分の1〜10分の1(ただし100万円下回ることはできません)を分割弁済すれば,残りの債務については支払いを免除されます。つまり,実質的に借金を5分の1〜10分の1まで減額することができる手続であるといえます。
また,個人再生手続では,一定の条件を満たせば,住宅ローンの残った自宅を残したまま債務の整理をすることができます。また,借金の理由がギャンブルや浪費の場合,破産手続では免責不許可事由に該当しますが,個人再生手続ではそれらの事情の存在が必ずしも手続の妨げになりません。さらに,保険外交員や警備員など,破産者であることが欠格事由になっている仕事をしている方でも,再生手続であれば欠格事由には該当しません。
したがって,個人再生のメリットとしては,①債務を大幅に圧縮することができること,②住宅ローンの残った自宅を残すことができる可能性があること,および③破産手続では問題となる免責不許可事由や職業的な欠格事由が問題とならないことが挙げられます。
Q 個人再生にはどのような種類がありますか?
A 個人再生には,小規模個人再生と給与取得者再生の2種類があります。特別な理由がない限り,最低弁済額がより少ない小規模個人再生を選択するのが一般的です。
Q 小規模個人再生と給与所得再生の違いは何ですか?
A ①給与所得者再生は,「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって,かつ,その額の変動の幅が小さいと見込まれる」ことが必要です(民事再生法231条2項3号4号)。収入に変動が大きい自営業の方は,給与所得者再生が選択できない場合があります。
次に,②小規模個人再生の最低弁済額は債務総額の5分の1〜10分の1(ただし100万円を下回らない金額)になるのに対し,給与所得者再生は法律で決められた可処分所得(収入から最低限の生活に必要な費用を除いた余剰資金の額)の2年分以上になります(民事再生法241条2項7号)。もちろん,両手続ともに清算価値(破産した場合に債権者に配当することになる財産の総額)を下回ることはできません。
そして,③小規模個人再生では,再生債権者の書面決議が必要であるのに対し,給与所得者再生では不要とされています(民事再生法240条,241条)。再生計画案に反対する債権者がいる場合には,決議の不要な給与所得者再生を選択した方が良いケースがあります。
これらの違いを簡単にいえば(もちろん例外はありますが),ほとんどのケースで小規模個人再生の方が最低弁済額は少額になり,他方で給与所得者再生の方が債権者の意向に左右されないといえます。
Q 小規模個人再生はどのような職業であっても利用できますか?
A 小規模個人再生を利用するためには「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」が必要です(民事再生法239条1項)。そのため,どのような職業であっても,就労実績や年齢等の事情を総合的に考慮して,継続的に収入を得る見込みがあれば小規模個人再生の手続を利用することができます。
他方で,無職,専業主婦(主夫),生活保護受給者等は,そもそも収入が存在しませんので,小規模個人再生は利用できません。
Q 小規模個人再生手続ではどのように債務を返済していくことになりますか?
A 今ある借金を法律に従って減額し,原則として3年間(最大5年間)の分割で返済します。例えば,500万円の借金がある方の場合,小規模個人再生の手続きを行えば,最低弁済額100万円を3年間で分割弁済することにより(不動産や保険など価値ある資産がある場合には,最低弁済額以上の金額を支払わなければならない場合があります。),残りの400万円が免責されます。
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